弁護士法人名南総合法律事務所 札幌事務所
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依頼から戦略立案まで
札幌市内に位置する、ある不動産。この物件は、長年依頼者グループが4分の3の持分を所有していましたが、残りの4分の1は別の方が所有しており、その方との連携が課題となっていました。依頼の目的は、この共有不動産を円満に共同売却すること。もし相手方共有者の協力が得られない場合は、共有物分割請求訴訟も辞さないという、切迫した状況でした。
当事務所はまず、依頼者グループの意向を詳細にヒアリングし、物件の状況を綿密に調査しました。その上で、共有者との交渉を円滑に進めるための戦略を立案。具体的には、市場価格を適正に把握するための査定を行い、入札形式による任意共同売却を提案しました。この方法であれば、公平性・透明性を確保しつつ、最大限の売却価格を目指せると考えたからです。
交渉と入札実施
まずは共有者に対し、共同売却のメリットを丁寧に説明し、入札による売却の提案を行いました。最初は難色を示していた共有者も、公平な入札プロセスと、それによって得られる可能性のある高い売却価格に納得し、最終的には共同売却に同意してくれました。
共有者の承諾を得られたことで、早速入札の準備に取り掛かりました。入札条件を細かく設定し、特に「不動産仲介業者を介した買受申込のみ」という点を明確にすることで、トラブルを未然に防ぐよう努めました。内覧会も実施し、買受希望者には物件の詳細を確認する機会を提供。そして、とうとう、当事務所にて開札が行われました。結果は、最低買受価格を大きく上回る金額での落札。最高額を提示した買受希望者が優先交渉権を獲得し、売買契約の締結へと進むことになりました。
契約締結、そして解決へ
優先交渉権を得た買受希望者との間で、売買契約の交渉を進めました。要綱に記載の通り、売主は契約不適合責任を負わず、現状有姿での売却となるため、買受希望者には十分な調査を促しました。幸いにも、買受希望者の理解も深く、スムーズに話は進みました。
売買代金の一括支払い、そして2ヶ月以内という期間での契約締結と決済も、滞りなく完了。依頼者グループと共有者は、それぞれの持分に応じた売却代金を受取り、長年の懸案事項であった共有不動産の問題を、円満に解決することができました。
本件では、共有者間の感情的な対立が生じるリスクも孕んでいましたが、早期に弁護士が介入し、客観的かつ公平な売却方法である入札を提案したことで、関係性を悪化させることなく、共有者全員にとって最善の結果を導き出すことができました。もし共有者の承諾が得られなかったとしても、共有物分割請求訴訟という次の手も視野に入れていたため、依頼者の方々には常に安心感を持っていただけたことと思います。
※本件は、実際の事案をベースに、個人情報に配慮し、適宜必要な修正を加え、再構築したものになります。
ある自治体内で事業をされているB社様(仮称)は、都市計画道路事業に伴い、賃借されていた店舗の立ち退きを求められていました。
立ち退き交渉の難航とADRへの移行
当事務所が本件をご依頼いただいた際、当初、自治体との間で任意の協議を重ねましたが、提示された補償金額ではB社様のご納得を得ることができませんでした。
公共事業における立ち退き交渉では、土地の所有者だけでなく、店舗を賃借されているテナント様にも、移転費用や事業休止による損失、さらには営業補償などが支払われるべきケースがあります。しかし、行政側が提示する金額と、テナント様が考える適正な補償額には、しばしば隔たりが生じます。特に、長年営業されてきた店舗の場合、移転による顧客離れや、新たな場所での事業再開の難しさなど、目に見えない損害も発生しがちです。
任意の協議での解決が困難と判断し、当事務所はADR(裁判外紛争解決手続)の利用を提案しました。ADRは、裁判とは異なり、中立な第三者が間に入り、当事者双方の合意形成を促す手続きです。公開の法廷ではなく、非公開の場で話し合いが進められるため、当事者の心理的負担も少なく、柔軟な解決が期待できます。
話し合いを重ね、適正な金額で和解成立
複数回にわたる話し合いの場では、B社様の事業実態、移転によって見込まれる損害、そして事業継続への影響について、詳細にわたる説明と証拠提出を行いました。自治体に対しても、B社様の状況を丁寧に伝え、より実情に即した補償の必要性を粘り強く訴えました。
話し合いを重ねた結果、適正な金額を受取る内容で和解が成立し、本件は無事に解決に至りました。
公共事業における店舗の立ち退き補償でお困りではありませんか?
公共事業に伴う店舗の立ち退きは、事業の継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。提示された補償額が適正なのか、他に請求できる費用はないのかなど、ご不明な点も多いかと思います。
当事務所では、これまでも公共事業における店舗の立ち退き交渉に携わってまいりました。もし、同様の事案でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。お客様の権利を守り、適正な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
※本件は、実際の事案をベースに、個人情報に配慮し、適宜必要な修正を加え、再構築したものになります。